学校法人椎野学園 創立100周年記念式典が行われました

10月1日(土) 創立100周年記念式典(会場:グランドホクヨウ)

                        学校法人椎野学園 理事長      
                        米沢中央高等学校 校 長 栗原 裕俊

 このたび、学校法人椎野学園米沢中央高等学校は、創立100周年という記念すべき日を迎えることになりました。これもひとえに、山形県、米沢市をはじめ地域の方々、歴代の園長・校長先生をはじめ教職員のたゆまぬ努力とPTA並びに母校愛に燃える高校の同窓会「椎の実会」、幼稚園の「こばと会」の皆様のご支援の賜物であり、心より感謝と御礼の言葉を申し上げます。
 本校は1922(大正11)年、創立者椎野詮が米沢の地に米沢女子職業学校を開校したのを始めとし、昭和24年に幼稚園を開設、高校は4度校名を改称しながら、平成2年に幼稚園・高校とも新園舎、新校舎に移転し現在に至っております。これまでに卒園生、卒業生約2万名を超え、県内外の各分野でめざましい活躍をされています。
 高校・幼稚園ともに、建学の精神「才智より出でたる行為は軽薄なり。心情より出でたる行為は篤実なり。」のもと、心の教育を重視する幼児教育、高校教育に日々励んでおります。
 幼稚園は、平成31年に、幼稚園型認定こども園に移行、預かり保育を取り入れながら時代の要請に沿った改革を行っております。高校においては本年度から新たにキャリア教育コース(地域創生クラス・進学クラス)を新設しました。特進コースとともに、地域に貢献する人材育成の観点から、新しい時代に向けて、地域の皆様の期待や信頼に応えるべく邁進してまいります。

実行委員長あいさつ(濱田実行委員長)

生徒代表あいさつ(粟野生徒会長)

100周年記念式典生徒会長あいさつ


 椎野学園創立100周年を迎えた今年度、生徒会長をさせていただいております、粟野鷹也と申します。
 100年という大きな節目の記念すべき時に、現在在籍している687名の中央生を代表して一言、ごあいさつを申し上げます。
 しかし私たちは、これまでの100年はもちろん、コロナ禍の苦しい制限・制約の中で過ごしてきた自分たちの高校生活、3年間しか知りません。
 そこには、私たちが私たちの時代で出来たこと、出来なかったこと、引き継いできたこと、変わるしかなかったことなど、さまざまなことがありました。
 今からお話しすることの多くはコロナ禍の前の話になりますが、100周年をお祝いして下さる皆様方に、先生・先輩から伝え聞いたことも含めて、私たちと私たちの先輩が創り上げてきた米沢中央生徒会の「宝物」を三つ、お話しさせていただきます。
 
 一つ目は、生徒会最大の行事「椎野学園祭」の最終日のフィナーレ、閉祭式です。
 最高の盛り上がりのラスト、暗闇の体育館に、事前の打ち合わせも練習も全くしていないのですが、生徒会長の一声で、全校生700名が巨大な円陣を作ります。そして全校生みんなが肩を組んで、左右に揺れながら、2004年アテネオリンピックのテーマソングで有名な「ゆず」の「栄光の架け橋」を、700人が全力で歌うのです。
 そして生徒会総務部を引退する3年生が、ステージ上で全校生を前に涙を流して感謝を述べ、最後は生徒会長がスポットライトの中で、全校生から何度も胴上げされ、青春が完結するという他校にはない「伝統」が、私たちの一つ目の「宝物」です。
 私たちの代は、あの感動の「栄光の架け橋」を、みんなで歌いたいとずっと願い続けてきましたが、結局コロナ禍で3年間、歌うことはかないませんでした。

 二つ目は、クラスマッチの最終種目、全校生参加の「綱引き」です。
 700人がひしめく体育館で、全20クラスがトーナメント方式で戦うのですが、コロナ禍の前は、綱を引く前に、なぜか各クラスで円陣を組んで、必ずと言っていいほど「声出し」をします。
 負けたクラスもその後、勝ち上がったクラスの円陣に加わっていくので、その円陣はどんどん膨れ上がり、決勝戦の前には大きな二つの円陣が自然発生し、最終的には全校生700人の、巨大な一つの円陣が出現します。
 ここでも全校生は床を一斉にたたき、最後はみんなジャンプしながら「声出し」をするといった新たな「伝統」も生まれました。
 
 三つ目の宝物は、「応援」です。
 米沢中央高校生徒会はさまざまな場面で仲間を認め合い、心から応援するという「伝統」があります。例えば、大会前の壮行式では、出場する運動部員だけでなく、全校生がここでも肩を組んで円陣を組み、左右に揺れながら、第3応援歌「あふれる力」を歌います。
 「春の高校バレー」では、応援団のない本校が生徒会で急きょつくった有志で東京に乗り込み、全国最優秀応援賞を2度、受賞しました。
 野球部の甲子園予選やサッカー部の全校応援では、米沢中央独自の「ビッグフラッグ」がひるがえります。
 「ビッグフラッグ」とは、3年に一度制作される、その世代の中央生全員が寄せ書きした巨大な旗で、現在では7枚になり、20年以上、4500名以上の先輩方の言葉がそこに刻まれています。
 生徒会行事のたびに掲示されるその7枚の旗は、今の中央生にとっては生徒会の歴史そのものであり、引き継ぐべき誇りであり、また多くの先輩方と繋がれるもので、その世代、その世代の旗に見守られながら、私たちはどこの学校にもない、一糸乱れぬ爆発的な「心」の応援を繰り広げるのです。
 
 かけがえのない「宝物」は、この三つだけではありません。
 数多くの「宝物」を手にするようになった中央生は、自分たちのことを、いつしか、「チーム中央」と呼ぶようになりました。
 そこには先輩も後輩もなく、コースの違いもなく、運動部も文化部もありません。
 あるのはただ一つ、米沢中央の旗のもとに集まった中央生、そして卒業した多くの先輩方や先生方をも含めた、みんなの「心」であり、その「心」の繋がりを、「チーム中央」という言葉は象徴しているのです。
 創立100周年の今、2022年も、新型コロナウイルスの猛威により一生に一度しかない青春時代は、苦しいものでした。
 もちろん「普通」ではなかったからこそ学べたこともありますが、いまだに700人の円陣も出来ず、体育館を揺らした、あの「栄光の架け橋」を歌えなかった3年間は、失ったことの方が多いと言わざるを得ません。
 しかしそんな困難な状況にあっても、時を超えて受け継がれる建学の精神「心情の鍛錬」は今も、「チーム中央」に脈々と息づいています。
 学園の創始者である椎野詮先生が、100年前におっしゃられた「心」。
 それは幾多の苦難を乗り越えて、これから始まる新しい100年においても、まだ見ぬ大勢の中央生たちによって受け継がれ、そしてみんなで創り上げてきた「チーム中央」がいつか、「名門・米沢中央」と呼ばれる日も、そう遠くはないと、私は心から信じています。

令和4年10月1日

学校法人椎野学園米沢中央高等学校「100年と100年をつなぐ世代の生徒会長」 粟野鷹也